Excelで表を作っていて、こんな経験はありませんか?
- 行が増えるとスクロールして見出しが見えなくなる
- データを追加したのに関数式を修正しなかったため計算ミスをした
- 大きな表の中の一部のセルだけ違う関数式になっていて計算ミスの原因となった
これらの“あるある”を、たった一つの機能「テーブル書式」 で解決できるのをご存じですか?
それに加えてこの テーブル書式 は実は小さなデータベースになっているのです。
ですからテーブルを扱うことで高度なデータ処理には欠かせない データベースの基礎を学ぶことができる のです。
仕事が楽になる上にステップアップの知識も身につくテーブル書式 、是非学ぶべきアイテムです。
この記事では、初心者の方でも理解できるように、テーブル書式の基本と活用方法をていねいに解説します。
では、早速いってみましょう!
「テーブル」とは何か?
Excelでいう“テーブル”とは、単にセルに枠線を引いた「表」とは異なり、Excel が「これはデータのまとまりだ」と認識するモノ のことです。
テーブルに変換するだけで、Excelはそのデータを“特別扱い”してくれます。
テーブル書式を使う5つのメリット
テーブル書式を指定することで、Excel はその範囲をデータとして扱ってくれるので、様々なメリットが得られます。
メリット1:見出し行が自動で固定される
スクロールしても、常に見出し行が画面上部に表示されるので見やすくなります。
従来の Excel の使い方では、見出し行を常に表示するにはウィンドウ の分割の設定が必要でした。
しかし、テーブル書式を活用すればそのような設定は不要で自動で見出し行が常時表示されるようになります。

メリット2:新しいデータを入力すると自動でテーブルや集計が拡張される
テーブル書式の隣のセルに新しいデータを入力すると、自動でテーブルが拡張されます。
また、テーブルを集計する関数も自動で拡張してくれるので関数式を修正することなく集計値が自動で更新されます。


メリット3:数式が自動で全行に反映される
一つのセルに数式を入力すると、一括して全ての行に同じ数式がコピーされます。
これはテーブルが何万行あったとしても自動で処理されますので、ミスをする心配がありません。

メリット4:ピボットテーブルやPower Queryと相性抜群
テーブルに名前を付けておけば、Excel のピボットテーブルや Power Query などのデータ処理にスムーズに繋げることができます。

メリット5:データの「整い具合」が格段に上がる
1行ごとに縞々表示にするなど、表として見やすいスタイルが適用できるので一目瞭然の整った表に。
視認性・ミスの削減・処理効率が向上します。

実際にテーブル書式を設定してみよう
このように沢山のメリットがあるテーブル書式ですが、設定は簡単です。
次の手順で設定してみて下さい。
- データが入力されている範囲のセルを選択
- メニューの「テーブルとして書式設定」をクリック
- 出てきたスタイル一覧から好きなスタイルを選択してクリック
- 「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックして[OK]

名前の設定(オプション)
「テーブルデザイン」タブで「テーブル名」を設定しておくと後から参照する際に何のデータであるかが分かり易いので便利です。
これは Excel関数を使う場合も、Power Query を使う場合もどちらでも有効ですので、是非設定をしましょう。

テーブル作成のルール
テーブルは様々な自動化のメリットの他に、データベースとして利用できる という大きなメリットがあります。
このメリットを活かすために守るべきルールがありますので、ここで解説させて頂きます。
ここがデータ活用のキーポイントになりますので、理解しておくと後のためになると思います。

ルール1 列の名前は全て異なるように作る
Excelでテーブルを作ると、テーブルのデータは、テーブル名+列名 で参照できるようになります。
これはセルを “A3” などと参照できるのと同じです。
異なる列に同じ列名がついていたら、どちらの列か分からなくなってしまいます。ですから、同じテーブルの中に同じ名前の列を作ることはできません。
ちなみに、テーブル書式を設定する際に同じ名前の列があった場合は、”売上.1” などとExcelが自動で名前を変更してくれます。
ルール2 セルは結合しない
データは必ず行や列ごとに区切られている必要があり、セルを結合してどちらの行、列のデータか分からなくすることは出来ません。
データは人にとっての見やすさよりも、純粋な情報として整理されている必要があるのです。
ルール3 同じ列の中のデータは全て同じ型のデータにする
例えば日付を入れる列には全て日付のデータを入れる必要があります。
「日付」という列に「未定」などという文字列を入力しておくと後々エラーの原因になってしまいます。
このルールもやはり、純粋な情報として整理する必要性から決まっているのです。
テーブルのルールまとめ
初めてこのルールを知った方からすると、あまりにもシンプルでどんな価値があるのかピンとこないと思います。
しかし、このシンプルなルールは後でデータ処理をする時に大変強力な効果を発揮します。この効果については後ほど解説します。
テーブルの集計をやってみよう
続いては設定したテーブル書式を実際に利用する方法です。ここではデータ処理の基本である集計をします。
テーブルの集計は従来の表計算よりも強力です。集計の作業を順に説明します。
集計の関数式を入力する
集計値を表示させたいセルを選択して、式として =sum(
と入力します。
ここで集計範囲をマウスで選択するのですが、図のようにテーブルの列の上あたりにマウスカーソルを持っていき、マウスカーソルが下向き矢印になったところでクリックします。

すると関数式は次のようにセルの参照では無く、テーブル名と列名での参照となります。
sum(テーブル1[売上])
テーブル名や列名を分かりやすく設定してあれば、手で入力することもできると思います。
こうしてテーブル名、列名で参照する関数式を作っておけば テーブルが拡張された時も自動で計算値が更新 されます。
テーブル は データベース の仲間
テーブルを活用するには前述のようにシンプルなルールを守る必要があります。
面倒でもこのルールを守ることでその強力な能力を引き出すことができるようになります。
例えば、サンプルでも出しているような 日付 と 売上 だけのシンプルなテーブルでも、次のように
様々な視点での分析をかけることができます。
売上テーブルの様々な分析
- 月ごとの売上の推移
- 曜日ごとの売上の集計
- 月ごとの売上の昨年との比較
- 四半期ごとの売上の集計
では、このような様々な計算は何を使えばできるのでしょうか?それが SUMIFS 関数 です。
テーブルのデータベース機能を引き出す SUMIFS 関数
SUMIFS関数は Excel の数ある関数の中でもテーブルのデータベース機能を引き出す強力な機能があります。
SUMIFS 関数は、単純に集計範囲を全て合計する SUM 関数とは異なり、複数の条件に一致する範囲のみを集計することができます。
条件値と同じ行を集計
例えば図のように 日付 と 売上 があるテーブルで、2025年4月1日 の売上を集計する場合は、以下のような関数式を入力します。

条件値との比較で集計
更に SUMIFS 関数は「2025年4月1日以降、2025年5月1日より前」といった幅を持った条件でも集計を行うことができます。

条件にはセル参照も含めることもできますので、これで様々な集計ができることが皆さんもお分かりになると思います。
まとめ
テーブル書式は見た目がぐっと良くなるだけでなく、Excel がこの範囲を特別扱いしてくれることでテーブルの拡張や、
集計の自動更新などの自動化により作業効率を図ることが可能です。
また、テーブルは小さなデータベースとなっていて、SUMIFS関数を使って様々な集計をすることが可能です。
テーブルとSUMIFS関数を使いこなせるようになれば、Power Query や データベースの活用も視野に入っていきます。
是非日常的にテーブルを使って、その強力な機能性を体験してみて下さい。